同人活動が著作権違反で捕まる可能性について適当に考えてみた 

 先日、とあるまとめサイトで

嫁がBL同人でサラリーマンの収入位稼ぐようになってきた。気持ち悪いので離婚したい。

 なんて記事を発見。
 エントリの本題である離婚云々については「好きにしろ」としか思わなかったんですが、「一般の人が同人活動における法的リスクを嫌がる」という部分をみて、あらためて「同人活動と著作権」について考えさせられました。

 せっかくなので、同人誌と著作権の問題について書いてみようかと。

 実際に「罪となるかどうか」を考え出すとややこしいことになるので、その手前の「実際にどんなことが起こりうるか」だけにしぼってみました。

※なお、僕は法律は素人で、同人活動の著作権問題についても徹底的に調査・検討したワケではありません(この記事は半日ぐらいで書かれています)。
 なので、法律部分については、あくまで「感想・印象」程度でしかありません。より詳細・正確な情報を知りたい場合はネットや図書館で調べたり、いっそ公的機関や弁護士に当たってみる事をオススメします。
 疑問に思うところ、間違っているところがあればコメント欄で伺えればと思います。


 まず前提条件から。
・オリジナル作品をベースに創作した作品(いわゆる二次創作物)は、著作権法違反に問われる可能性がある。

・著作権法違反は「権利者が訴えなければ裁判沙汰にはならない」という親告罪なので、原作の権利をもつメーカーや作家に訴えられなければ捕まることはない。

・基本的に、権利者は同人活動を「黙認」している。あくまで黙認しているだけで許可を出しているわけではない。

・近年は、権利者の一部が「同人活動」を許可していているケースもある(リーフ、クリプトン等)。ただし無制限に認めているワケではなく条件があるので要注意。

・同人誌が著作権法違反で訴えられた例は極端に少ない。(僕が知る限り、過去に逮捕された事例は「ポケモンの同人誌」だけです。逮捕までいかず権利者から警告を受けた例はもっとあると思われます。)

・刑事告訴ではなく民事訴訟を起こされる可能性も否定できないが、オリジナルをまるまる複製するような内容でも無い限り考えにくそう。

 簡単にまとめると、こんなところでしょうか。
 で、「実際に逮捕されるかどうか?」を考えると、現実的にはその可能性はかなり低いと思います。

 まず、出版社側が告発をめんどくさがると思います。
 同人誌を売られても出版社側のデメリットってあんまり無いんですよね…。エロ同人だされると作品のイメージが傷つくってのはありますが、数千部程度であればたかがしれてますし。
 また、告訴することで一部ファンの間でメーカーに対する嫌悪感が広がる可能性を嫌がるってのもあると思います。
 よく言われる「宣伝効果があるから同人誌はメリットでもある」については、個人的には理解しづらいのですが、例えばコミケで一大ジャンルを築いたり、大手が取り上げることで、作品の認知度が上がるってのはありそうです。

 あと、出版社も「モノ作り」をしている会社ですから、同人誌を作っている人の「モノを作りたい」って欲求に対しては好意的だと思うんですよ。少なくとも、僕の知っている雑誌の編集さんにはそういう人が多いし、作家さんの同人活動に対しても、寛容なところがほとんど。
 つまり「同人活動」自体は全然オーケーというスタンスなわけです。なので、訴えるとしたら「金儲けが酷すぎる」とか「内容が目に余る」といったケースになるんじゃないかなぁ。

 さて、次に出版社がそういっためんどくささを乗り越えて訴訟を検討したとしても、いきなり逮捕・裁判とはならず、事前に「販売停止」とか「謝罪・賠償金請求」といった連絡がくることが多いと思われます。

 ただしこれは権利者側の考え方次第なので、いきなり刑事告訴されて逮捕されるってケースも否定できず、権利者側の善意に頼りすぎるのは危険かもしれません。例えば権利者の方がロリが大嫌いな人だとしたら、ロリ陵辱同人誌に猛烈な嫌悪感を覚え、問答無用で告訴するということもあるかもしれません。
(詳しく無いので分からないのですが、仮に親告されたとしても、100%刑事事件化されるかどうかは分かりません。多分「絶対」ではないと思いますが…。逆にロリ陵辱とかだと近年の児童ポルノ対策がらみで警察も積極的に動くことも考えられます。ちなみにポケモンのときはいきなり逮捕だったようです)


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ダウンロード販売について
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 あと、これからの同人活動では「ダウンロード販売」もよくよく考えないとマズいとおもいます。
 企業が同人活動をスルーしている理由の一つに「規模が小さい」ってのがあるはずです。つまり「ファン活動であって営利ではないから黙認しよう」というもの。
 これは「限られた場所」で「限られた期間」のみの販売活動というのが大きいでしょう。もちろん今までもwebサイトでの通販やアキバの同人ショップなどで売られてはいましたが、規模としてはまだ無視できるレベルだったと思うのです。(個人的には、アキバの同人ショップでの販売は本当にギリギリのラインかと。っていうかアレはいつ訴えられても不思議じゃないレベルだと思う)

 しかしショップサイトを利用したダウンロード販売となると話が別です。不特定多数に猛烈な数の配布・販売が可能となります。
 現状ではダウンロード販売という手法がそれほどメジャーになりきっていないこともあるので大きな心配は不要だと思いますが、今後の推移には注意が必要でしょう。

 なんにせよ、売り方の規模が大きくなってくればくるほど、法的なリスクは跳ね上がっていくと思われます。


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「逮捕」と「無罪」の境
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 同人誌と著作権について、覚えておきたいのは、仮に著作権違反で民事訴訟されたり刑事で逮捕されたり…とくに逮捕の方ですね…すると、有罪にならなくても大きなダメージを受けかねないってことです。

 逮捕となれば家宅捜査されたり拘留されたりと、それだけで実害が出ます。裁判で精神的・経済的な労力を払うことになり、会社や親族間、さらには子供も含めた地域社会での立場が悪くなることも考えられます。
 冒頭の記事のように、そんなリスクをかかえてまで夫婦生活を続けられない、頼むから止めて欲しいと考えるのも無理はないかもしれません。

 もちろん、現状で実際に逮捕されてしまう可能性は少なく、神経質になる必要はないと思いますが、「ポケモン事件」という前例もあり100%安全とは言い切れません。
 さまざまな可能性とリスクを考慮し、一度自分の中で消化ておけば、万が一何かあったときでも自分の行動に責任を取りやすいし、事態への対処も容易になるのではないでしょうか。
「今までは大丈夫だった」からといって「これからも大丈夫」とは限らないですしね。


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 あえて逮捕されやすいケースを妄想すると「ロリエロとか陵辱エロみたいな内容が超きわどいヤツで、かつハデに売れてる超大手」ですかねぇ…。倫理的にも商業的にも突っ込みどころ満載…みたいな。
 もしくは、親告する側が「見せしめ効果」を狙うのであれば、あえて超マイナーな個人サークルを狙い撃ちして「こんなところも告発されるのか」とか、どっかのプロ作家の同人活動を引っ張ってニュース効果を考えるかもしれません。

 あぁ、エロの場合は猥褻関係で捕まるって可能性もなくはないっていうか、むしろ昨今の状況を考えるとそっちの方がリスクでかいかもしれませんねぇ…。

 そうそう、最近は「著作権違反の非親告罪化」という話題もあります。
 これが実現化すると、今までと比べ逮捕される可能性が跳ね上がると思われ。
 詳しく書くとさらに長くなるのでスルーしますが、気になる方はいろいろ調べてみるとよいかと思います。


【関連リンクいろいろ】


弊社作品の二次創作物について
  アクアプラスの同人活動への許諾内容。分かりやすい文章で助かりますねw

ドラえもん最終話同人誌問題(Wikipedia)
  ある同人誌動が話題になりすぎて問題になった事件。

ポケットモンスターに関する様々な事件・逆風
  Wikipediaのポケモン記事の下の方。ポケモン同人誌のおおまかな経緯。

パロディ作品について、現行法における違法可能性と新たな法規定の行方を考える
  弁護士さんが書いているブログエントリ。著作権と「パロディ」について。

「TPPで同人誌は消えるのか?」シンポジウムで激論
  上と同じサイト。TPPで「著作権の非親告罪化」がはかられていることを受けて。ちなみに「非親告罪化」は必ずしもTPPによるものではありません。

【著作権】とんでもない法案が審議されている
  こちらも非親告罪化について。記事は2007年のものとなっていて結構前から話題となっていたのが分かります。なお記事は個人ブログ(竹熊健太郎さん)のもので、非親告罪化に反対のスタンスとなっています。

フェアユース(コトバンク)
  フェアユースとは、ネットなどでの著作物の使用をある程度許容するための考え方の一つで、アメリカで使われています。ネットがここまで広がった現在、ネット社会を想定していない著作権法を厳密に運用すると息苦しい&不便なことこのうえないので、こういった考えが注目されています。
 また、フランスにはパロディ作品を許容する「パロディ法」があります。
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[ 2012/10/31 17:22 ] いろいろ | TB(0) | CM(0)


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