本が売れなくて出版の未来が厳しいらしい…「モノを買う意味」を考える 

 ヤフーニュースでこんな記事を見かけました。

エンタメの未来が危ない!作家・有川浩が決意の緊急提言「新刊本を買う意味」

 中身を思いっきり要約すると
「本が売れないと作家・書店が儲からなくて、作家が消えて本が出なくなったり街の本屋が潰れてなくなったりするかもよ」
 ということ。

 で、僕は一応出版系の仕事をしているのですが、身内の人間からすると、これは
 かなり切実な話です。

 出版不況ということが叫ばれて久しいですし、多くの人も「本が売れなくなっている」というのは気がついていると思います。
 本が売れなくなっているのは、いろんな理由があると思うので、そのことについての是非をどうこう言う気はありません。
 「本が売れない」のは時代の流れなのかもしれません。

 ただ、その結果として「本が出なくなる」という状況が、思っている以上のスピードで進行しつつあるというのは、とくに本が好きな方は、知っておいたほうがいいかなぁと思います。


 以前と比べて本が売れなくなった結果、出版社は「売れる本しか出さない」という傾向が強まっています。
 昔は出版社に体力があったので「売れるかもしれない本」も積極的に作っていました。
 10冊本を作り、9冊コケても1冊ヒットすれば、会社全体の収支はプラスになったので、それが可能だったんです。
 売れないかもしれないけど、作り手が作りたい本をワガママに作れた…と言えるでしょう。

 しかし今では「そもそも”1冊”がヒットしない」うえに、「ヒットしても小粒なので、売れなかった分を支えきれない」のが現実です。

 そのため、出版社側は「確実に当たりそうな本」を狙って作るようになります。
 すると、どうなるかというと「冒険をしなくなる」のです。
 つまり「すでに売れている本の模倣」や「過去の成功体験をベースにした組み替え」といった内容ばかりになります。

 これを続けていると、コンテンツの新陳代謝がなくなって、どんどんマンネリ化していきます。
 作っている方も、それがダメな道なのは分かっているのですが、だからといって理想を追いかけたら会社が潰れてしまうのでどうしようもないんです。

 オタク向けのマンガやラノベは、この傾向が分かりやすいんじゃないですかね…。
 最近のマンガは、分かりやすい記号や目立つ仕組みを取り入れたモノばかりになっていますが、あれって「新しいことをやって冒険する余裕がない」からなんです。

 また、マンガや小説の場合、新人さんへの投資もかなり絞られてます。
 昔は一人の作家をじっくりと育てる余裕がありましたが、いまはそんな時間もお金もありません。
 安い原稿料で次々とデビューさせて、うまくいきそうならヨシ、だめならすばやく見切って次にうつってしまいます。


 他にもいろいろ書きたいことはあるのですが、長くなるので割愛w

 ともあれ「お金が回らないコンテンツ」は、製作にお金も時間もかけられないのでクオリティが下がりがち。
 いっぽうで数が売れないので単価は上がっていきます。

 つまり現在の出版業界は「質が下がって値段は上がる」という状況なんです。

 「昔よりつまらないのに値段は高いとか、バカらしくて買ってられない」
というのが当たり前の反応ですが、値段を上げないと赤字になってしまうためやむを得ません。
 それが世間から受け入れられなくて売れなくなれば、本を出すこと自体をヤメるしかないわけです。

 さすがに「マンガや小説が全滅する」とは思いませんが、今のような「溢れんばかりの作品の中から好きなものをえり好みできる時代」は、遠からず終わってしまうかもしれません。
 まぁテレビのように「広告収入による無料モデル」が当たり前になる可能性もあるんですけど。

 ともあれ、「モノにお金を払うこと&払わないこと」が、どういう状況を生み出すのかについて、少し思いを巡らせてみるのも悪くないかなぁと。
 高いと思うものにお金を払う必要はまったくないですが、自分が欲しい物はいったいどれほどの価値があるのか、「高い」と一言で片付けてしまうほどの価値しかないのかを、いちどじっくり考えてみることも大事かと。

 本に限らず、ゲームでも音楽でも、コンテンツをタダで大量に得られるようになった時代だからこそ、なおさらね。
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[ 2016/03/07 10:34 ] いろいろ | TB(0) | CM(4)


やたらとキャッチーなタイトルをつけているわりには、
過去作の焼き直しばかりなんですよね。

守りの姿勢でしか商売ができないのであれば、
イケダハヤト氏が最近やっているような
ネームバリューにお金を払いたがるファンを囲い込んで、
そのファンだけを相手にして商売していけば
いいんじゃないかと思いますよ。
[ 2016/03/09 23:00 ] [ 編集 ]

あまりに売れないから、守りの姿勢でしか商売できない状況になりつつあるんですよね…。

コアなファンを囲い込む戦術は、しばらくは保つと思うんですが新規獲得が難しいので先細りになりがち。
まぁ作ってる方はそれを分かっていても延命せざるを得ないってのが厳しい所ですが。
[ 2016/03/13 10:41 ] [ 編集 ]

個人事業者が増えて消えていくのは事業者だけじゃないかなー
[ 2016/03/25 08:17 ] [ 編集 ]

たしかに個人化の流れは加速していきそうですね。
そうなったらなったら「個人で全部できないクリエイター」の行き場が気にはなりますけど。

僕が編集サイドの人間なせいもありますけど、今のコンテンツ販売の形態だと、「商業的に成功する作品」を作ろうとすると、製本・販促や各種事務作業といった裏方業務がしめる割合も、そこそこデカい気がしますからねぇ…。
[ 2016/04/03 10:55 ] [ 編集 ]

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